未来につながる理想の英語教育

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英語で英語を教える

英語で英語を教える

文部科学省は2020年の完全実施を目指し、2018年から段階的に小学校3年生から英語活動を開始し、5,6年生では教科として指導し、中学では英語の授業は原則英語で行うという計画を示しました。今のところあまり徹底されていないようですが、既に高校では2013年から英語の授業は英語で行うことになっています。学校教育現場が大変だとか、教師の準備はどうするかなど、現実的な課題や対策を考える前に、果たして英語で英語を教えることが必要かどうか、皆さんはどう思われますか。 私は中学生ならば中学生なりに、高校生なら高校生なりに彼らの知的好奇心を満たす内容で英語教育を行うことの方が重要であり、それを英語のみで教えなければならない理由は、英語学習の目的や効果という観点からしても見当たらないように思います。中学生が英語を面白くないと感じる最大の理由は、教科書の内容が幼稚で薄っぺら、知的好奇心がわかないというのが一番ではないでしょうか。10分ほどで読み切れてしまうあの薄っぺらな教科書や何の文脈もない例文を一年かけて、単語や文法中心に教わるわけです。そこには彼らの知的水準にあったストーリー性、知的発見や興奮がほとんどなく、英語でコンテンツを楽しむどころか、言葉のルールや語彙などフレーム学習を繰返す科目と化しています。仮に、私たちが国語を自分の知性に合った物語や論説の中身を楽しむことなく、単文を軸に文法や語彙を中心に週に何時間も学んで楽しめるでしょうか?答えはもちろんノーです。 それでは、英語学習を楽しく深みのあるものにするにはどうすれば良いのか。それは、年齢相応に学習者が楽しめるコンテンツを英語で楽しめるようにすれば良いのです。そのための工夫こそ、今教育現場で必要なことなのではないのでしょうか。英語で授業を行うことがそれにつながるとは、私にはとても思えないのです。むしろ、知的水準は下がり、日常会話レベルの中身しか取り扱えなくなってしまうのではないかと危惧します。 「英語で英語を教える」というよりは、異文化理解に関わるテーマやワクワクするような物語、または最新の科学的な情報など中高校生たちの知的好奇心を誘う「面白い事柄を英語で学ぶ」ことが必要なのではないでしょうか。つまり、コンテンツをベースとした英語教育です。それでこそ、興味をもって道具として、あるいは媒介として英語を活用する能力を習得していくことにつながり、外国語を学ぶことの意義を理解させモチベーションを高めることにつながると思うのです。 その意味で、日常会話レベルの内容を英語で教えようとするよりは、高度な内容を日本語で解説しつつ英語でわかるように教えるほうが、生徒たちに異文化への刺激を与え、迫力ある知的活動が実現するように思います。そして、その結果としてよりレベルの高い英語力が身に付くでしょう。 念のため申し添えますと、私は英語で教えること自体に反対しているわけではありません。現に我々のEFFECTでは帰国子女はすべて英語でネイティブが教えていますし、帰国子女ではないコースでも小学生、中学生までは日本人教師が中心に教えますが、高校からは基本的に英語が指導言語となります。ただし、私たちの場合は高校生になるまでに十分、英語で授業を受けても面白いレベルのコンテンツを学べるように準備をしているわけです。それなくして、英語は英語で教えるといっても本末転倒であると思うのです。