未来につながる理想の英語教育

受容語彙と発信語彙

語彙には、受容語彙(文章を読んだり、話を聞いて理解できる単語)と発信語彙(文章を書いたり、言葉を話したりする際に用いる語彙)があります。一般的に母語においては日常生活において膨大な量のインプット(文字を読んだり、会話などを聞いたりする活動)を自然に行っていますので、通常は大量の受容語彙が形成されています。そして、日常の言語活動を繰り返す中で、受容語彙の中から特に使用頻度の高い語彙や自分自身が使い慣れた語彙が発信語彙として形成されていきます。たくさん本を読んだり、新聞を読む子どもの書く文章のレベルが高い理由はここにあります。 そして、この受容語彙と発信語彙の相関関係は第二言語においても見られます。EFFECTに通う帰国子女たちの書くエッセイを見ていますと自然で相手に伝わりやすく、こなれた文章を書く子どもは、必ず大量の英語の本を読んでいます。日本に帰国してからも子ども達が、英語の本を読み続けることのできる環境づくりが非常に大切なのはこうしたことからです。レベルの高い表現力(アウトプット)を支え、向上させるのは継続的なインプットなのです。 帰国子女ではない子ども達の英語学習にもこの原理は応用できます。つまり、学習の初期段階では受容言語の蓄積ができる状況にいち早くもっていき、日常的に文章や音声をインプットできる能力と環境を作り上げる必要があります。そして、大量のインプット(文章を読んだり、聴いたりする活動)を維持しつつ、レベルを徐々に上げていき、豊富で優良な受容語彙を構築していく。時間を十分にかけて、外国の文化に触れながら子ども達が楽しみながら受容語彙の構築ができれば最高です。本などの文字情報だけでなく、CDやDVD、またはインターネットなども活用して、音や映像、文字情報を同時にインプットできれば効果はさらに上がります。 小学生、中学生の子どもたちが、IELTSやTOEFL受験または高等教育の場で本格的なライティングやスピーキングなどの発信力を必要とされるまでには十分な時間があります。それまでに豊富なインプットを確保し、膨大な受容語彙の中からしっかりとした発信語彙を構築できるよう段階的に成長を見守っていきたいと考えております。