「外部試験の活用」の意味するもの
昨年末、文部科学省は2019年から現行のセンター試験を廃止し、新たな大学入試制度を始める方針を示しました。英語については「読む・聞く・書く・話す」いわゆる4技能を評価するために「TOEFLなど外部受験を活用する」方向で進めています。現在の小学6年生が大学入試を受験するタイミングでの改革となりますが、その流れは2019年を待たずに加速度的に広がっていくと思われます。
昨年9月、スーパーグローバル大学が37校採択され、今後10年間これらの大学はグローバル化を推進していくことになります。( http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/09/1352218.htm )海外からの留学生や日本人学生の海外留学の拡大、また大学での授業の英語化などグローバル化の主要な課題を実行するには、入試自体もそうした改革に適応できる学生を選べるものに変えていく必要があります。それのためには、すでに全世界で毎年数百万人が受験している留学のための英語評価試験であるTOEFLやIELTSを活用する以外にありません。既に慶應大学や国際基督教大学では今春の入試からセンター試験活用型の入試を廃止し、TOEFLなどを活用して英語力を評価することにしています。今後、留学するしないにかかわらず、高校生たちに必要とされる英語力は、従来の大学入試に対応するものではなく、TOEFLやIELTSで高得点できる力となることは確実です。
私たちは日本の試験センターとして、毎年ケンブリッジ英語検定を実施しておりますが、これは4技能バランスよく評価できる本当によくできた試験です。さすがにケンブリッジ大学が100年以上もの間、その知見を蓄積しつつ運営されてきたものであると実感しています。このケンブリッジ英検における日本人受験者の傾向を見ますと、やはり読解、聴解は比較的良いのですが、インタビュー(話す)とライティングが非常に弱いのが現状です。さらに比較すれば、スピーキングよりもライティングに課題があります。実はIELTSもケンブリッジ英語検定の大学入試版ですので、同じ傾向があると思われます。既に英語を書く力の重要性は記しましたが、大学入学後の必要性だけでなく、TOEFLやIELTSにおいて差をつけるためにもライティング能力を高める必要があるのです。
従来は、大学生や社会人が留学するために受験していたTOEFL、IELTSを高校生が受験準備しなければならないということは何を意味するのか、考えてみてください。それは高校生になってから対策をしてできるようなものではありません。今までは高校生でやっていた内容を中学生で終えていなければ、次のステップに進めないのは当たり前です。インプット(読む・聴く)能力はできるだけ中学でレベルアップしておき、高校生段階ではアウトプット(書く・話す)能力を伸ばしていくという方針で、英語学習を進めていくことがこれからの中学生、高校生には必要とされるでしょう。